はじめての生物講座 開催。大人も子供も本気で虫取り。

2019.8.22

南房総市三芳にあるシェア里山「ヤマナハウス」では不定期で狩猟講座や林業講座などのイベントが開かれています。今回は8月17日に開かれた「はじめての生物講座~昆虫編~」の体験レポートをお送りします。
レポートは東京農業大学で地域環境保全学を研究する染谷香里さんに書いていただきました。

大学生の見た「虫屋さん」(虫好きな人)の世界を感じてみてください。

はじめての生物講座 開催。大人も子供も本気で虫取り。

8月17日、ヤマナハウスではじめての生物講座を開催しました。今回は昆虫編。講師は、カメムシが好きな虫屋さん=カメムシ屋の奥田さんです。カメムシの世界や実際に環境調査で使う道具を説明してくださいました。参加者は、若い男性と小学生の男の子とそのご両親でした。

あなたが知らないカメムシの世界

カメムシといえば、「臭い虫?」というイメージが出てきます。カメムシの両側の前足の付け根にある「臭腺開口部」という部位からアルデヒド(毒)を出しているそうです。臭いを出したら、そのあと広げるためにバタバタするそうです。なんとなく、「可愛いな…?」と思いました。

しかし、カメムシは単に臭いを出すというだけではありませんでした。例えば、タイリクハナカメムシという種は、畑の害虫の駆除に役立つそうです。さらに、タガメはスパイスにも使われているそうです。なんと…!世界には、臭いを利用した香水などもあるそうです。一方で、厄介な害虫である種もいます。カメムシひとつ取っても、人間にとって有益だったり無益だったりするんですね。

それから、カメムシはまだまだこの地球上に不明種がいるそうです。南西諸島に多いそうですが、千葉県でも新種発見があり得るそうです。なんだかワクワクします。ほかにも、一見、非合理的に見えて実は合理的?な習性を持つものや徐々に活動の分布域を広げるもの、逆にメガソーラーや農業の影響で絶滅の危機にあるものなど、奥田さんは面白い視点から様々なカメムシを紹介してくださいました。

いよいよ野外調査!童心に帰って昆虫採集

講義の後はいよいよ野外調査で、最初に道具の説明がありました。網も虫取りがしやすいように、フレームが硬かったり長さを変えられたりと、様々工夫が凝らされたものでした。色にも意味があり、色ごとに集まる虫が変わってくるそうです。サポートでお越し下さった虫屋の皆さんも装備を整え、調査に向かいました。

講師の方々から狙う場所や道具の使い方を教わりながら、南房総の豊かな自然に生息する昆虫を捕まえました。単純に網を使って捕るのもルッキング(見て捕る)の他にスウィーピングやビーティングという手法があることを知りました。捕まえた後は標本にして整理、種名を図鑑で確認して、お土産として持ち帰られました。

地元の食材を使った豪華な夕飯

夕飯は地域おこし協力隊の中丸さんに作っていただいた、イノカレーやクジラの煮付け、落花生やザリガニなど、地元でとれた肉や野菜を使ったフルコースを堪能しました。

今回の講座では、終了後にオプションとして夜間調査も行われました。夕方に設置したライトトラップを見て回り、ブラックライトに飛来する昆虫を確認。太い木のウロを丹念に見て、夜行性の昆虫がいないかを探しました。

今回参加された皆さんは、「子供の頃はよく虫を追いかけていましたが、だんだん虫が嫌いになって…でも今日で少し好きになりました。」「勉強になりました。」「虫取りは久々で楽しかったです。」と感想を述べられていました。虫屋の皆さんに、なぜ虫を好きになったのかを伺ってみると、「気づいたら好きだった。」と、淡い恋のような返答をいただきました(笑)。虫屋になったのも、「皆さん、子供の頃は虫に関心があったと思います。それが今でも続いているだけです。」と仰っていました。

私自身も、子供の頃はよくバッタやチョウを追いかけていましたが、本格的な網を使い、知識を持って狙うと、採れるものが格段に違うことを体感し、驚きました。そして、今回は多くの種のトンボが捕まり、南房総の自然の素晴らしさを感じました。トンボをもっと知りたい、という関心も深まりました。専門家の方々と活動できる機会はそうそう無く、本当に貴重な機会で、充実した環境教育のイベントでした。ありがとうございました。

(体験レポート=東京農業大学 地域環境科学部 染谷香里)


沖浩志

投稿者: 沖浩志

館山市地域おこし協力隊。合同会社アルコ代表。1983年2月仙台市生まれ。専門学校卒業後、国立公園で2年、自然環境調査会社で11年勤める。残りの人生は安房地域のために捧げたいと考えて独立。日々勉強中。