南房総2拠点大学レポート~社会起業コース「食と福祉」編~

2019.3.11

美しい海と豊かな里山に囲まれた南房総の地で、ローカルビジネスを学ぶ講座「南房総2拠点大学」の2018年度講座が昨年9月に開講しました。

南房総2拠点大学の詳細はこちら(https://cocolococo.jp/topics/24951

受講者たちは、自分ではじめる「小商いコース」、チームではじめる「社会起業コース」の2コースに分かれ、全4回の講座を通して講師陣・ローカルビジネス実践者とともに企画を考えていきます。

今回は、9月の現地講座から11月に開催された企画発表会までの様子を、各コースごとにレポート致します。

第1回:現地講座@南房総

代官山ワークスの丸山孝明さんをリーダーとして集まった5名の参加者で構成された食と福祉チーム。
まずは、「代官山ワークス」が徳島県神山町で運営している「tomos(ともす)」という配食サービスがどんなものなのか学びます。南房総市の金井さんに市内の現状や課題についてもヒアリングしながら、2回目,3回目とどのように進めていくかを確認しました。

その後、地域の現状や課題をさらに探るため、実際に視察へ。
①道の駅見学
富楽里、鄙の里へ。配食する弁当の大事な要素である、農産物や実際にどんな食品が売られているのかを視察しました。

②千倉・平館地区で街歩き
tomosを展開している徳島県神山町は山奥の集落で、配食する1軒1軒の距離が離れていますが、南房総は住宅が集まっているエリアが多いため、いろいろな可能性が広がってきそう。
漁港があり、水産加工も盛んなエリアで、まちの魚屋さんも訪問。地域の現状や産業などについてもお聞きしました。

③七浦診療所見学
七浦地区の高齢者に対して医療サービスを提供する七浦診療所では、施設内で食材・惣菜や生活品の販売も行っています。
担当の方にお話を伺い、販売スペースも見学しました。

拠点であるコミュニティセンターに戻ったあと、視察を踏まえて、南房総市内では配食以外にどのようなサービスが可能か、ブレインストーミングを行いました。
出された案の中が、チームメンバー各自に割り振られ、2回目までに中身を詰めて発表することを確認し、解散となりました。

第2回:企画ブラッシュアップ@東京

1回目で割り振られ、メンバー各自が詰めてきた案を発表、価格表などまで作成したメンバーもおり、事業として現実性をもたせられるか、それぞれ意見を出し合いました。

各案のテーマは以下の通り
・車の塩害対策としての洗車サービス
・移動販売
・コスプレイヤー向けサービス
・地域の人に向けた講座・ワークショップ企画
・地域の農産物を使った食品、メニュー考案

第3回:現地視察と発表会@南房総

まずは拠点となるシラハマ校舎にて、
既に配食サービスを行っている有限会社重光の森社長に、お話を伺います。

白浜地区にある重光さんは、精肉の加工・販売を行っている会社。行政や地域からの要望があり、高齢者向けに配食を行っています。
森社長から地域のニーズや課題、可能性についてヒアリングしたことで、さらに具体的にイメージを深めました。

お話の後は、昼食をとりながら発表会に向けて企画を整理。

午後は2回目で訪問した千倉・平舘地区を再訪問し、社会福祉協議会と民生委員さんにヒアリング・意見交換を行いました。

ヒアリングは主に、白浜や平舘地区の高齢者の暮らしについて。そもそも配食サービスは必要とされているのか?といった質問も。
多くの民生委員さんにご対応いただき、熱の入った時間となりました。

戻るとすぐに発表会。
サービスの実施候補地を白浜地区・平舘地区に絞り、今後も地域側と相談しながら検討していくことが発表されました。
チームメンバーもそれぞれ視察を経て感じた率直な意見を話しました。

第4回:報告会

リーダーの丸山さんから①これまでの3回を通して課題②地域へのかかわり方③今後について、報告がありました。

課題については、地域の福祉にかかわるサービスを実施するのに必要な、理解を十分に得られていない点、地域に入り込む人材の必要性、事業としての採算性や既存サービスとの共存について語られました。
また、tomosの南房総版ではなく、南房総に合わせたローカルビジネスの立ち上げを検討していくという方向性が示されました。

南房総に合わせたローカルビジネスという点では、
第1回目・2回目で出されたような案は十分に可能性があるように感じます。
今後も南房総地域に関わっていくというメンバーも多く、各自のかかわり方でローカルビジネスへ参加するなど、つながりは続いていきそうです。