Q.デュアルライフのきっかけは何ですか?
A.
2008年より2013年までの5年間、仕事でロンドンに駐在していました。当時、ロンドン中心部より南西方面に電車で約1時間ほどのSurreyという地域に住むイギリス人の友人たちと週末、自転車を楽しんでいました。信号も車も少なく自然豊かで景色も素晴らしいエリアに住み、週末を楽しむイギリス人の生活スタイルを見て、帰国後、自分も職場と家を往復するだけでなく、週末、もっと自然に触れながら趣味の自転車を存分に楽しめるような、そんな環境で生活したいと週末用の家を探し始めました。
Q.どのようなところに住んでいますか?
A.
平日は横浜の神奈川区に住み、東京・丸の内に通っています。最初は京浜急行線で一本の三浦半島で物件を探しましたが、三浦半島はどこまで行っても通勤圏のため、住宅開発が進んでいて、かつ、道が狭い上に車も多く自転車を楽しむには必ずしも適していなかったのでなかなか自分のイメージに合った物件を見つけられずにいました。そんな時、友人に房総半島での自転車に誘われて、車でアクアラインを渡ってみると、そこには開発が進んでいない美しい里山の風景が広がり、車も信号も少ない最高に自転車に適した世界があり、何度も日帰りで自転車のために通ううちに房総に家を持とうと決め、探し始めました。
房総は半島なので海も山もあります。サーフィンや釣りを楽しむ“海派”の人も多くいますが、私は緑に囲まれた“里山派”です。館山の内陸、家の後ろは山、前は田んぼで、春には鶯のさえずりが、夏にはセミやカエルの合唱がBGMです。庭には梅、枇杷、栗の木のほか、ミョウガもなり、季節ごとに収穫を楽しんでいます。
Q.どのようなデュアルライフですか?
A.
仕事の関係や家の所用でどうしても行けない時を除き、1年を通じ約8割のペースで週末、館山で過ごしています。房総半島を駆け巡るサイクリングやランニングのほか、庭木の手入れ、家の周りの草刈り、家の中でのDIY、地元食材を使った料理などやること、やりたいことは尽きず、あっという間に週末が終わってしまいます。時々、トライアスロン仲間がやってきて合宿をしたり、会社の仲間が来てバーベキューを楽しんだり、コミュニティの場にもなっています。
1月、フキノトウが顔を出し、2月、梅の花が咲き、鶯が鳴き始め、3月、いろいろな種類の小さな野草が花を咲かせ、4月、田んぼに水が引かれ田植えが始まり、5月、梅の実がたわわに生り採って梅酒を漬け、6月、枇杷が生り、7月、夏なぎという集落の草刈りがあり、8月、種類豊富な夏野菜が市場に並び、9月、ミョウガがたくさん採れ、甘酢漬けにし、お彼岸にはヒガンバナが咲き、10月、栗やアケビが生り、11月、小松寺の紅葉を楽しみ、12月、薪ストーブに火を入れ焼き芋を楽しむ。。。二地域居住を始めてから一年を通じ毎週行くたびに季節の移ろいを感じることができるようになりました。とても贅沢で豊かなことと思っています。また、たまに行く別荘生活とは違い、周年行事等で地元の方々とも仲良くしていただき、地域の情報や食、生活の知恵を授かったり、これもまた、二地域居住の醍醐味です。
Q.そのほかデュアルライフについて感じていること、伝えたいことなどあればご自由にお書きください
A.
一口に二地域居住と言ってもいろいろなケースがあると思います。子育ての環境と言う視点から二地域居住をしているご家族、田舎暮らし・農が好きで楽しんでいるご夫婦、私のように子供たちも独立し、男の趣味の空間(Man Cave)として楽しんでいる単身(笑)。。。人生のそれぞれのステージで、またその人の志向で楽しみ方も違ってくると思います。その目的によっては、必ずしも購入ではなく賃貸でも可能であったり、実現の仕方はいろいろあると思います。また、近年、地域の老齢化が進み、空き家も売りに出されるケースが増えてきており、購入のチャンスも十分にあるでしょう。動き出すまではちょっと勇気が要りますが、始めれば一気に世界が拡がります。いろいろな意味で人生の幅が広がり、豊かさを実感できます。関越道、中央道を使った二地域居住もあると思いますが、房総半島は東京都心や横浜沿岸部から車で1時間~1時間半あれば着きますし、アクアラインも渋滞する時間帯は限られているのでその時間を外せば回避できます。また、高速バスも頻繁に往復しています。この時間・空間の距離感は房総ならではと思います。
Q.つながりのあるデュアラーがいればぜひご紹介ください
A.
菅原さんをご紹介します。二地域居住歴は私よりずっと先輩でDIYの腕はプロ並み。3年前、NPO法人南房総リパブリックさんが企画された「エコリノベ」のワークショップでお会いし、以来、たくさんのことを教えていただくと同時に、ネットワークを広げさせていただいています。気さくでオープンマインド、自分の家はもとより、他人の家の改修を“趣味”とし、その人柄から多くの二地域居住者・移住者に慕われていらっしゃる方です。