【イベントレポ】南房総2拠点サロンvol.8〜南房総×スタンプラリー

2019.2.22

近年、生き方を見直し、地方での暮らしを求め、移住を希望する人が増えています。移住先として注目を浴びているのは、「南房総」です。南房総は、豊かな自然を兼ね備え、都心からのアクセスも良いため、移住先として候補にあがる理由もわかります。しかし、移住を検討している方の中には、周りに暮らす人に受け入れてもらえるのかといった心配や不安もしばしば。そんな不安解決のために南房総では、平舘地区で利用されるスタンプラリー企画が誕生しました。

新しいローカルメディアとなりうるスタンプラリーについて見識を深める、「南房総サロンvol.8 南房総×スタンプラリー」が2019年2月13日(水)HAPON新宿にて開催されました。南房総に訪れ、その自然と自由さに魅了された大学4年のアオシマが、実際にイベントに参加し、その様子をレポートいたします!

参加者・登壇者が続々イベント会場に入場

19時に開場された直後から、参加者の方々が続々と入場されました。そんな参加者からは、今回のイベントを楽しみにしている様子が伺えます。参加者はお酒やお茶を片手に自己紹介タイム。どんな参加者がいるか話を聞いたところ、フリーで理学療法士をしている方や千葉からお越しの大学生、本格的に移住を検討している方などなど、いろんな方が参加されているようです。

ちなみに各テーブルには用意されているのはケータリングと、南房総の特産品のイワシです。少し食べさせてもらったところ、とても美味しく、お酒が欲しくなる一品です!

19:30イベント開始!

参加者同士の交流が温まってきたところで、イベントの司会であり、イベント会場HAPON新宿を運営されている永森昌志さんの挨拶が始まりました。永森さんは参加者がどんな目的で来たのか気になったようで、関心のあるテーマに当てはまるところに手を挙げてもらいます。結果は以下のとおりでした(複数回答可)。

移住・2拠点居住を検討している方:5名、地域コミュニティとつながる方法を知りたい方:半数以上、新しいローカルメディアに関心のある方:半数以上、南房総ファンの方:全員?笑

最後の質問で会場は笑いが起き、会場がより一層温まった感じがしました。


(写真左:影山さん、中央:石川さん、右:永森さん)

永森さんの挨拶が終わり、いよいよ「南房総×スタンプラリー」についてのお話が始まります。登壇者はお二方いて、はじめにスタンプラリー冊子制作ファシリテーターの影山さん、続いて平舘地区元青年会長の石川さんがお話されます。

ローカルメディアとしてのスタンプラリーとは

参加者全員に配布されたスタンプラリーがこちらです。スタンプラリーというよりも、パスポートと言った方がしっくりきます。

このスタンプラリーの中を覗いてみると、移住者が営むレストランで食事をするといった簡単なものから、平舘区長と一緒にイノシシの罠を見回るといった難しいものまで、難易度別に10個のスタンプが押せるようになっています。全部集めた人には、梅の木のオーナーになれるとか。これにはスタンプラリーを手に取った方はビックリ。参加者の中には、「イノシシの罠を見回ることに興味があったから参加した」という方もいらっしゃいました。

お話を聞いていく中で、このスタンプラリーの一番の特徴は、”ヒト”に会う事でスタンプをもらえることであることが分かってきました。従来はモノがある場所に行って、スタンプをご自由に押してくださいというものが一般的でした。しかし、スタンプを持つのは現地の方であるため、自然に現地の方々と馴染めるようになっているようです。

スタンプラリーは現地と移住者をつなぐローカルメディア

登壇者の影山さんは、この冊子が完成するまでの過程や思いをお話ししてくださいました。そのうちの一つに、スタンプラリーを全部集めた人の特典には、唯一無二であるとともに、平舘に通う理由になるものは何かと模索していました。そこで梅の木のオーナーという案が出てきたそうです。梅の木のオーナーであれば、手入れや収穫の時期があるため南房総に通う理由になる、かつオリジナルさの演出にも繋がります。

影山さん「このスタンプラリーの目的は『プロセスの中で地元の人との関係をつくること』であり、結果として『移住者が増え南房総を好きに』なってほしい」

新しいローカルメディアとしてのスタンプラリーにかける思いをこの言葉から強く感じました。地元の人は、移住者を受け入れたいがどう接したらいいかわからない、移住希望者は受け入れてくれるかが不安。この両者の悩みが”ローカルメディア”をコンテキストとして利用することで解決できるようにと思いが込められています。

最終目標は移住者が増え、南房総を好きな人が増えること

影山さん「これ(スタンプラリー)を作ることが最終目標ではない。出来上がったものをどのように普及して活用していくことが重要。これからが本番である」。これまでにも移住促進のための施策は各所で行われているが、ローカルメディアや施策を作った時点で満足してしまうケースが多いという。影山さんの熱意からもわかるように、スタンプラリーをとおして、3年後の移住者の数がどう変化したのかをきちんと追跡するとおっしゃっていました。この話には参加者も、「一番印象に残った話」として、その重要性を受け取っていました。

平舘の取り組み、魅力とは

平舘地区元青年会長の石川さんからは、平舘地区の現状から区としての現在の取り組みをお聞きしました。平舘地区はかつて漁師の町として栄えた地域で、現在は530世帯・1035名の区民が暮らしているそうです。しかし、産業構造の変化に伴い、若者は自らの意思や親が子に苦労させたくないという思いから、都会へ進出していき、空き家問題や高齢化が進んでいるそうです。

石川さん「もう一度平舘に賑わいを取り戻したい!昔のワクワクや楽しさを今の子供達にも体験させたい!」。現状の課題はありながらも、石川さんの思いは強く、その思いが会場に響きました。区として今後の取り組みは、平舘地域で暮らす乳幼児から高齢者までが”安心”して暮らせる地域づくりを目指して、区民の茶の間を発足しています。取り組みのお話を聞いて、”安心“という言葉がとても印象に残りました。

新しいローカルメディアの可能性とは

登壇者のお話を経て、司会の永森さんが気になった点を質問して、ディスカッションを行いました。ディスカッションには影山さん、石川さん及び永森さんに加え、平舘地区の堀江区長と企画財政課の渡辺さんの5名で行います。

平舘区長の思い

堀江区長「スタンプラリーをとおして、平舘を体感してほしい」。そこから平舘地区の良さについて、区長の実体験に基づくリアルなお話が始まりました。小学4年生の女の子が、『平舘の誇り』という作文の中で、夏休みにラジオ体操に参加して感じたつながりが誇りであると綴ったそうです。このつながりを残していきたい、そういった思いが感じられました。参加者もこの話を聞いて、「区長さんの人柄から、平舘の良さをリアルに感じられた」と印象に強く残っていました


(写真左:渡辺さん 中央:堀江区長)

今後のローカルメディアの可能性

今後は、ローカルメディアを通じた移住促進が、他の地域にも広がっていくことを展望にいれているそうです。今回製作されたスタンプラリーは平舘地区を対象としており、平舘地区はて移住促進モデルエリアとして実証実験の対象となっています。その理由は企画財政課の渡辺さん曰く、南房総にある168地区の中で、地域の人が一丸となって区を良くしていこうとしているからであるとおっしゃっていました。この話を聞いて参加者は、「願いどおり他の地区にも広がっていったら、南房総全体の活性化につながると思う」という感想や、「地元の人の熱量あってこそ、この冊子(スタンプラリー)が完成したのだとわかった」といった感想を抱いていました。

南房総が好きで、地方を良くしようと願っている人が集まっている

パネルディスカッションが終わり、毎回恒例の交流会が始まりました。南房総や平舘地区の今後について話し合う方々、別の分野でローカルメディアを作るにはどうしたらいいかと議論する方々、スタンプラリーどれから始める?と3月1日から始まるスタンプラリー企画を楽しみにする会話など、1時間ずっと楽しそうな会話が聞こえてきました。最初の質問にあったように、みなさん南房総ファンで、かつ地方をより良くしようと考えている方がここに集結していたように感じました。新宿という都心で、南房総という地方を想える場所がここにはあるのだと参加してみてわかりました。

さて、次回の南房総2拠点サロンは、3月13日(水)19時から「南房総×企業〜都市部企業の南房総活用アイデア~」だそうです!都市部の企業と南房総にはどんな関わりがあるのか、今からすでに気になります。南房総と関わりたいと思っている都市部企業や会社員の方は是非、参加してみてはいかがでしょうか?