移住・2地域居住しちゃう!?『まずは南房総においでよ』に行ってきました!【イベントレポート】

2017.11.30

2017年11月3日、4日に開催された『南房総市「移住・2地域居住」一泊二日体験ツアー』の様子を南房総在住の市民ライターがレポートします。

千葉の先端、南房総をたっぷり知って、どっぷりハマった2日間!東京都心から高速バスで80分、鋸山を超えればそこは里山里海に囲まれた新天地・南房総!往復5000円、“near東京”の利点を活かし、近年はローカルビジネスも盛んです。

ハイウェイオアシス富楽里(ふらり)集合
富楽里

朝方までの雨がウソのような、清々しい青空に幸先のいい予感がします。
新宿や東京、千葉からの高速バスで到着の方やJR内房線で岩井駅から歩いていらした方、そして自家用車の方など交通手段はさまざま。年代も20代から50代、ご夫婦での参加もあり、じつに多種多様な参加メンバー10名の顔ぶれに、あとの自己紹介タイムとツアー後の感想がどうなるのか、とてもたのしみになりました。

「イタリア/タイ野菜収穫と就農者足達智子さんのお話」大紺屋農園(おおごやのうえん)
足達さん

「先週・先々週と二度も台風で、さすがに農園の野菜たちも塩気にやられちゃって…」と案内してくださった足達さん。それでも、栽培期間中農薬不使用で育った、タイの唐辛子「プリッキーヌスワン」のすっきりした辛さも「バイ・ガパオ」のさわやかな香りも健在です。
就農3年目、加工から販売までもこなし、大口契約も入り、4時起きの生活をおくる毎日。元々は都内のOLさんだったという話に参加メンバーは興味津々。質問が飛び交います。

最後にイタリアの「バタビアレタス」を収穫させていただき、皆でそのおいしさにびっくりしながら岩井海岸散策へ。「遠くのハワイより近くの岩井ですよ♪」なんて。弧を描く遠浅の浜辺、心地よい潮風と波の音に癒されます。

「トライアルステイ(試住)の住宅見学」おためし岩井住宅
岩井住宅

「おためし岩井住宅」は、2地域居住や移住を現実的に検討する「トライアルステイ(=試住)」の拠点。南房総市を訪れたことのある個人またはグループを対象に、2泊から6泊の期間を無料で滞在することができます。(2017年2月まで)

キッチン・バス・トイレなどの水回り、二階のお部屋まで確認してまわる参加メンバー。「次は家族を連れてくる予定なんです」と、さっそく申し込み済みの方がいらして、ぐっと現実的に!

「里山の恵み、完全自給の農家レストランで昼食」百姓屋敷じろえむ
じろえむ

1日目のお昼は、築300年のお屋敷で、14代ご当主稲葉さんが育てた有機野菜のお料理をいただきます。かまどで炊かれた天日干しの無農薬無化学肥料米は、おひつで供され、おこげも登場!おいしくておかわりもすすみます。 2000羽の平飼い鶏が産んだ有精卵のふわとろ卵焼きと、〆の自家製糀のデザートアイスも絶品でした。

こちらで順番に自己紹介タイム。金融系、IT系、デザイナーなど…近くは県北から、遠く埼玉よりお越しの方も。参加理由は、「終活」「海が好きで」「土が恋しくて」「野菜をつくりたい」などなど。ここで稲葉さんから、「農はいいよ。やんなさいよ。でも“農業”はすすめないよ~(笑)」とアドバイスが。

「2拠点生活の拠点事例 ~古民家シェア~」ヤマナハウス
伐採

すでに2地域居住を実践されている皆さん。ふだんはIT系など、ほぼ内勤の方とのこと。作業服がバッチリ決まって何軍団かというほど、カッコ良すぎです!

こちらも築300年を超える古民家で、この改修と隣接する休耕畑の開墾、裏山の伐採…と、まるごと里山再生を、まるでおとなの秘密基地をつくる感覚でたのしんでいるのが印象的でした。今回の参加メンバーにも通いたくなってうずうずしている人が…。こうやってたのしさは伝播していくのですね。

「移住者のお仕事現場」多肉植物Binowee
Binowee

Binoweeの岡田さんは1999年に移住。それまでは栃木から下道6時間(!)かけて、サーフィン&仕事さがしに通っていたそう。切花農家さんに2年、でも切らないで育てたいと地元の植物園勤務の10年を経て、多肉植物専門に。圃場のビニールハウスを訪れるお客様が増えてきたことで、ちゃんとお店をつくろうかと、こちらをセルフビルド(!)でオープンし8年とのこと。
おしゃれな店内にはユニークで可愛らしい多肉植物がいっぱい。またお店の雰囲気にあった陶器やクラフトなども、この地元や移住前の地域の作家さんから。一足飛びでなく、ひとの縁で少しずつ地域に根を張って…。今では全国からお客様がみえて、つい先日も四国と北海道から訪れたそうです!

「移住者のお仕事現場」安房暮らしの研究所
安房暮らしの研究所

右奥にみえるのが所長の菅野さん。房総の「いま、これまで、これから」を見つめるフリーペーパー『0470-』を隔月発行し、お店がオープンする金土日には白衣を着て所長を務めます。
「海に、波に、週末に癒されに、いや浄化されに来ていて(笑)、住んじゃいたいなーって」2010年に移住。元漁協の建物を、こんなに不思議なモノいっぱいの魅力あるお店に変身させて。当時の金庫はギャラリーに、カウンターは商品棚に、什器備品まで再活用とわかり、参加メンバー一同驚き。こういう閉鎖された建物は不動産の物件にはのらないので、直にきいてあたったそうです。
国産と地元産にこだわってセレクトした生活雑貨店には、遠くの方はもちろん、近所のおじいちゃん、おばあちゃん、なんと小学生(!)までが気軽にやってくるとか。愛されてるなー。

「イノシシBBQを食べながら、参加者在住者の交流」Guesthouse Café遊房(ASOBO)
BBQ

丸一日をいっしょにすごし、アルコールもほどよくまわって、お互いが気持ちよくちかくなったころ。脂肪の少ないヘルシーなイノシシ肉は、ほとんどの方が初体験。「噛み応えのある野生の味がする~」と参加メンバー。大紺屋農園の足達さんも、特製ドレッシングとフレッシュサラダを持参で駆け付け、とてもバランスのよいBBQの食材となりました。後半は、クジラのたれも登場!地元の味ですね~。

宿泊 ~夜も更けて…
夜ホール

いちど中締めのあと、室内に場所を移して。
移住・2拠点について、真剣トーク、ときおり議論も炸裂します。熱い夜がふけてゆきます。具体的に現実的に考えるほど、生活費や収入、つまり仕事についての不安が首をもたげてきます。
「新しい文化をつくって住んでってほしい。できればナニカを始めてほしい」
「思考に入っちゃう前に行動に移すべし、ね」
「田舎=スローライフ、では決してないんだなあ」

起床・朝食
朝食

「いやぁ、ゆうべは風が強かったー」と眠そうに目をこする方も。いえいえ、冬場の大西(海からの季節風)はこんなもんじゃありませんて(笑)
朝食は、海を眺めながら。こちらはサーフボードをテーブルにあつらえた特等席。
また濃~い一日がはじまります!

「南房総市空き家バンク ~登録物件見学~」白浜
空き家バンク

こんな太い梁、見たことない!ってくらいの太さに、神棚と作り付けのお仏壇の立派さ、みなさん思わず見上げます。大黒柱も太い太い。築80年くらいのお宅だそうです。
空き家バンクへの登録物件よりも、借りての登録数のほうがうんと上回っていて、アップされるとすぐ交渉中になるとか。
昨日の岩井の一戸建てとは、またぜんぜんちがうタイプの物件に、ここでの暮らしを想像してみる参加メンバーでした。

「遊休施設活用事例見学 ~廃校の利活用事例~」シラハマ校舎
シラハマ校舎

旧長尾小学校の木造校舎をレンタルオフィスやレストランにリノベーションし、校庭には小屋付き農園スペースに良品計画の『無印良品の小屋』が並びます。
借りてごとに個性的な空間に生まれ変わっている元教室や、トイレやシャワールームのお洒落さにびっくりしました。

昼食(海の食事処「なむら」のお弁当)野島崎灯台
なむらランチ

2日目の昼食は、ご当地メニューの「鰯(イワシ)漬け丼」でした。あぶらののった鰯がびっしりのっていて、細かい刻みショウガの混ぜ込んである酢飯と相性ばっちりでした。
写真ではわかりませんが、じつはわたしたちのまわりをかなりの数のトンビが旋回し、ぐるっとこちらを向いてとまったりしていて、けっこうな緊張感をもっていただきました!(笑)

「内房の岬で森林セラピーと遺跡見学」大房岬自然公園
ハンモック&ストレッチ、散策、戦争遺跡見学
セラピー

10張りのハンモックがゆらゆら。100KGまでOKだそうです。10分間の瞑想タイムに
見上げれば木漏れ日がきらめいて、とっても不思議な、きもちのよい体験でした。

戦争遺跡は、こういってはなんですが、びっくりするほどの美しさ。ちょっと神秘的。

森林セラピーは思いのほか気持ちよく、フィトンチッドの疲れ癒し効果・ストレス解消効果の説明に納得しました。舗装されていない道を落ち葉を踏みしめながら歩く気持ちよさにはまってしまった参加メンバーもいましたね。

「日本三大うちわ 房州うちわ作り体験」とみうら枇杷倶楽部
房州うちわ

さいごに、房州うちわ作りを体験。貼り付ける絵柄をさがすときは和気あいあいと。まず、のりのつけ方を教わりました。表面・裏面と貼ったら、はさみでカットし、ふちをぐるっと。ここはみなさん集中して沈黙です。出来栄えは上々。よいお土産ができました!
職人さん養成の講座がおこなわれたばかりとのことで「歓迎しますよ」と声がかかっていました。

振り返り つぎは…やっちゃいなよ!
ラスト

あっという間の2日間は過ぎ…。
みなさんの心にはなにが残ったでしょうか?

「思い切って、きてみてよかった。思っていたこととちがったこともたくさん。ここはよそとぜんぜんちがう!職員の人の誠実さ。地域の人のおおらかさ。この名札のおかげで、どこへいっても「(南房総へ越して)来なよ!来なよ!」と声をかけられた!受け入れられて、役立てる、のは嬉しい。このまちに自分がどうフィットできるか。まずは月1とか通ってみたい」
「つぎは、『まずは、やってみなよ!』『やっちゃいなよ!』だね!」

と笑顔で解散となりました。
みなさん、連絡先を交換したり… ここがはじまり、ですね!


投稿者: F. 敦子

南房総市在住。上の子が小学校にあがる年、房州・安房(あわ)へ家族4人で移住。(本人はUターン)夜の本当の暗さとこぼれるほどに瞬く星の数に驚き、カエルの合唱のボリュームにオドロキ、季節の風のにおいにおどろく、都会育ちの夫に愕かされる日々。地元民目線と移住者目線、両方から、日々の暮らし&南房総の魅力を発信する。